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OBインタビュー

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羽生直剛「どこかで東京の価値は下げたくないとずっと思っていた」


第7回OBインタビューは、今シーズンよりFC東京クラブナビゲーターに就任した羽生直剛。スカウト時代の2年間の活動や今後のビジョンなどを熱く語っていただきました。全3回に分けてお届けいたします。


前編はこちらから

◆その中でもFC東京でCNに?

日本の首都は、世界的にも有数の都市ですよね。世界に発信できる、日本の象徴としてのポテンシャルをもっている。そこにあるクラブがもっと輝くために何をすればいいのか、何ができるのか……というようなことはよく考えていました。

魅力的に変われるだけのポテンシャルをもっているクラブだからこそ、変えられるだけの実力を付けたいと。それぐらいの人間になって、東京というクラブに恩返しをしたいなと思っています。

誤解を恐れずにいうと、スカウトって獲りたい選手に「来てください、ぜひ来てください」と、めちゃくちゃお願いをする立場で接します。それはスカウトとして当然ですが、どこかで東京の価値は下げたくないとずっと思っていました。

自分は頑張って勝ち取って、このクラブでプレーできたこと、仕事をしていることを誇りに思うし、あの味の素スタジアム(以下「味スタ」)でピッチに立つこともすごく喜びでした。

スカウトとして頭を下げるのは間違っていないですが、どこかでそんな下手(したて)に出ないと選手が獲れないほど、東京は“だせぇ”チームなのかな……と思ったこともありました。

世界のビッグクラブ=たとえばFCバルセロナ(以下「バルサ」)でプレーしたいか?と聞かれれば、即「はい、したいです!」という選手がほとんどでしょう?

僕たちに「俺たちはFC東京なんだ」と胸を張って言えるだけのものがあったら、誰もが集まってくるのではないかと。

◆クラブの魅力を高める。たとえば、ハード面では都内にサッカー専用スタジアムを作るとか…。

ハード面だけに限らず、選手に対して「これで満足だろう?」というのを作れるとしたら、「東京ってすごいな、ここでやれることはすごいな」となるはずです。

獲りにいった選手が「別に東京じゃなくても……」と迷った瞬間、こちらも「じゃあ、いらないです」と(苦笑)。

それは極端な例ですが、選手がこのクラブでプレーして幸せと感じる要素、それは何なのかと。今の時代、個人で成長して海外に行きたいという選手が多いですが、海外に渡った後でも、またここに戻ってきたいと思うクラブとは何なのか。例えばクラブの価値を高めればいいのか。選手ともっとよいコミュニケーションが取れれば可能なのか。

けれども結局、正解はわかりません。チームマネジメントにも正解はないのだろうけれど、自分の考え方にマッチするような形で、正解に近いものを探したいという気持ちはずっと持っていました。
 

◆現実的にFC東京には、そこまで頭を下げなくても加入してくれる選手も?

その意味ではスカウトっていらないですよね。僕は、スカウトが不在というのも面白いと思っていました。

育成型クラブと掲げるのであれば、単純に育成システムを手厚くしたほうがいいのではないか? スカウトの労力を考えれば、自分たちで育てたほうが早いのではないかと。

なおかつ、たとえば安部柊斗がトップチームに“帰って来る”となったときに、みんなが喜んでくれるわけじゃないですか。小さい頃から近くで観ている選手たちがプロになって、みんなが喜ぶ。その絵は、Jリーグの理念、地域密着にもつながりますよね。 

じゃあ、育成型クラブとして、アカデミーをものすごく手厚くするのはどうか?と。

それはできるはずなのです。東京だからこそ良い素材が集まっていて、U-15には「深川」と「むさし」という、優秀な2つのチームをもっていて、他のクラブからすればすごくうらやましい。そこから選抜されたチームがU-18になっていて。東京のアカデミーはすごいと。それを活用しない手はないのではないかと。

そのためにもアカデミーのコーチに能力どおりの=優秀なコーチには優秀な分だけの報酬を与える仕組みを作る。それに見合った選手を必ず輩出することを任務として、しっかりと11年成長させて、安定的にトップチームに選手が入ってくるようになれば。

さらにいえば、自分たちで育成した選手が、海外に出ていくとなった時には、現在では移籍金等のお金も自分たちの収入となる可能性がある。

成長した選手は海外に出る、移籍金が入る。外国籍の選手は、絶対にはずれのないタレントを獲る。そういったサイクルが作り上げられれば、すごくラクじゃないですか(笑)。


◆世界のビッグクラブの潮流?→後編はこちらから・・・・・・
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