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OBインタビュー

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〖完全無料公開〗 佐藤由紀彦「大熊監督からトップ下としては構想に入っていないと...」


第3回OBインタビューは、トップチームコーチの佐藤由紀彦。現役時代のお話はもちろんのこと、当時なかなか聞くことのできなかったサクセスストーリーや指導者としての在り方など熱く語っていただきました。全3回に分けてお届けいたします。本日は、前編をお届けします!


◆1999年、そのシーズンからJ2リーグを戦う東京に加入されました。改めてその経緯から聞かせてください。

98年当時、僕は山形に所属していました。JFLで東京と対戦した時に、ファン・サポーターを含めたスタジアムの躍動感や一体感に感銘を受け、単純に「あのような雰囲気の中でサッカーがしたい」と思いました。それが東京との出会いです。

さかのぼれば、清水商業高校卒業後に清水に加入しましたが、そこからの3年間はもどかしさがあって。山形への移籍は、背水の陣でもう後がない状況。ここで結果を残さなければ、自分の中では「サッカーはもう……」というような気持ちもありました。
ある意味、ネガティブな移籍だったかもしれません。
けれども山形では、その時の指導者(石崎信弘監督)やチームメイトたちから、思い起こさせてもらったものがありました。自分が小・中・高校の時にずっと持ち続けてきた姿勢=一言で表すと『ひたむきさ』を失いかけていた中、サッカーに対する姿勢をもう一度、気づかせてもらった。
そこから、今度は東京から「佐藤由紀彦の力を借りて、J1リーグに昇格したい」というラブ
コールのようなオファーをいただいて。それで加入を決めました。



◆自身にとってポジティブな移籍となったのですね。東京での選手時代を振り返って印象に残ることは?

自分では、サッカーをプレーしながら、一人の人間としての成長や人間形成の基礎を作ってもらったことが一番ですね。
たとえばクラブのカラー、ファン・サポーターのみなさんとのふれあいであったり、ピッチ内外で愚直にサッカーに打ち込むスタイルであったり、応援してくださる方々も派手で華麗なプレーよりも、泥臭く戦うことを好んでくれたように感じていました。それが自分の中でしっくりときて。

◆J1昇格や、ナビスコカップ(現在のルヴァンカップ)ベスト4・ニューヒーロー賞の獲得、日本代表候補合宿への招集などもありましたが?

サッカーの結果や成績よりも、一人の人間としての成長の部分が大きいです。
もちろんプロとして、チームにもファン・サポーターにも認められたいという気持ちはありました。ただ、「このプレーで、この試合で認められた」という印象はないのですが、最後まで諦めないこと、また「大敵と見て恐れず、小敵と見て侮らず」という言葉がありますが、まさにその姿勢が自分にぴたりと重なりました。
特に高校の時のスタイルをさらに実践することで肯定されるようにも感じ、一人の人間としての根底を培ってもらったように思っています。



◆“清商”時代は、テクニカルで洗練されていたイメージがありましたが……。

とてもとてもテクニカルとは言えないです(苦笑)。外から観るのと主観の違いはあるかもしれませんが、自分ではあれでも泥臭く戦っていたつもりです。
とにかく必死で、競争と危機感の中で、あの頃がもっともひたむきにサッカーをしていたなと。
プロに進み、もちろん「質」に向き合うことも求めてきましたが、姿勢としては高校生の頃のようなひたむきさをさらに強調していくことが東京では好まれたと思うんです。
そのひたむきさを思い出したというか、蘇らせてもらった感覚でしたね。
だからこそ居心地もよかったんでしょう。自分の生き方を肯定されるような、そういうクラブだったと思っていましたし、今もそう感じています。



◆プレーの質という面では、大熊清監督をはじめ、指導者からの影響も?

大熊監督には右サイドへコンバートされて、その影響は大きいですね。
当時の僕は、トップ下へのこだわりが強かった。自分が点を取ることがすごく好きで、アシスト役に回るのは性に合わないと思い込んでいたんです。だから正直にいうとその過程では、衝突したこともあって。
大熊さんから「トップ下としては構想に入っていない」とはっきり言われて、やっぱり悔しかったですから。
それでも時間を経て、徐々に右サイドがはまるようになっていったのは、監督との試行錯誤の結晶でもあると思います。
トップ下への未練を捨てて、覚悟を決めて新しいポジションで多くの人を認めさせようとリスタートした。その出会いという意味でも本当に感謝しています。

◆ただ悔しいという感情で終わらず、覚悟を決められる“土壌”のようなものもあった?

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