安部柊斗<後編>
「アベシューの名を世界に轟かせよう」
正式なデビューを果たした2020シーズン、安部柊斗の成長は目を見張るほど著しかった。なによりも本人が一番驚いている。
「走る量も増えましたし、得点も取れていますし……大学のときに比べて倍ぐらい成長したかなと、自分のなかでも思いましたね。根本は変わらず、より発展して、強度も上がったかなと感じています」
東京でのパワーアップのおかげで、2020年12月末の代表候補合宿でも不足はまったく感じなかった。
「ぼくは代表をいままで一回も経験したことがなくて。どんな場所かもわかりませんでした。この間初めて代表合宿に参加したときは、かなりやれるなというのが終わってみての感想です。途中から通用するなという感触が出てきました。いままで代表常連だった選手に比べるとまだまだ足りないかもしれないですが、その差は詰めていけると思っています」
東京ではない日本代表。JリーグではないACL。外の刺激が安部の成長を促している。
「ACLがすごく刺激になったなという感触があります。決勝トーナメント1回戦で対戦した中国の北京国安には、有名なレナト アウグスト選手がいました。2018年のワールドカップブラジル代表にも入っている世界のトップ選手と一緒にプレーをして、衝撃を受けました。身体をぶつけられても揺るがず、彼は自分でボールを運び、最後にアシストまでしている。やはり世界とはまだまだ差があるなとすごく刺激を感じました」
こうなってくると、東京のアベシューから世界のアベシューになるため、強化するべきポイントは明確だ。
「シンプルに、まず身体の当たりを負けないということですね。フィジカル面を向上させていかないと、世界にはほんとうに大きい選手ばかりでやっていけないと思うので」
2020シーズンに対戦した本物から教えられた自分に足りなかったこと。その不足に立ち向かうべく、安部ははやる気持ちを抑えて新しいシーズンの準備を進めている。
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