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プレイヤーズ インタビュー

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高萩洋次郎「20チーム制で競う来季を読む」【後編】


高萩洋次郎<後編>
「20チーム制で競う来季を読む」


新型コロナウイルス感染拡大の影響でサッカーカレンダーが圧縮され、ACLの東地区は未消化になっていたグループステージから決勝までの試合をカタールで集中開催することになった。この11月から12月にかけてのカタール・ドーハ遠征が、年末ということもあり、必然的に2020シーズンの山場となった。

通常はホーム&アウェイで進めていく大会を、ひとつの都市で一気に、それこそワールドカップのようにおこなうのは異例のこと。この事態に高萩洋次郎は「普段どおり過ごすということがいちばんいいと思っていた」と言う。

「(隔離のため)ホテルに缶詰だったので普段どおりにはならない。それでも選手やスタッフ各自がホテルのなか、部屋のなかでストレスを感じずに過ごすことが、試合に集中出来るいちばんの要因だと思っていました。実際に、いろいろな規制はあってもそのなかで楽しむこと、試合や練習に集中することは出来たと思います。ただ、だからと言ってそう簡単に勝利や優勝という結果につながるような大会ではないので、それはいい経験でした。みんながこのACLを経験出来たということはクラブにとっても選手にとってもいい時間だったと思います」

日本とはジャッジの基準が異なるアジアのレフリー、Jリーグとは違う戦いをする対戦相手との試合への順応は、すぐ出来ることではない。「アジアの大会の経験者が少なかったという意味でも、そう簡単に勝たせてもらえる大会ではなかった」と、高萩はACLの厳しさを振り返った。

同じグループからラウンド16に進出した蔚山現代FCが優勝。彼らと東京とはちょっとの差しかないのではないかとも思えるが、高萩は「そこの差が大きい」という認識を示した。

「蔚山にはカタールでプレーしていた選手もいれば、ヨーロッパでプレーしていた選手も日本での経験がある選手もいます。アジアの戦いという点では彼らのほうが上手(うわて)だったと思います」

準々決勝以降に進むことは難しいと感じさせられた厳しいアジアの戦い。しかしここでそれが何かを把握し、あるいは長期の連戦をチーム全員で戦い抜いた経験が、2021に待つACLの出場権を獲得するための国内リーグ、そしてその後に活きてくる。飛躍を遂げるためには、継続的なACLへの参戦が必要だ。

「国内のリーグ戦とカップ戦だけに集中すれば戦いやすくはなります。しかし、アジアの大会に出られないということは、アジアで勝つために1シーズン以上出遅れるということになる。2021シーズンは必ずACLに出続けるような位置につけ、順位を保てる戦い方が出来ないと、アジア制覇は出来ないと思います」

降格がなかった2020シーズンを経て、2021シーズンのJ1リーグは20チーム制になる。ACL出場権の獲得がより困難になることは重々承知している。

「ファン・サポーターのみなさんが普通に足を運べる状況になるにはまだ難しい状況だと思いますが、そのなかでも2020年、感染対策をしながら声を抑え、心にしまって応援してくださったみなさんの気持ちはすごく伝わってきました。その気持ちに選手は結果で応えないといけないと思います。2021シーズンは20チーム制で栄冠を掴む競争率は20分(ぶん)の1となり優勝するには厳しい戦いになりますが、クラブ、選手、ファン・サポーターのみなさんでひとつになって勝ち獲りたいと思います」

ACL優勝、J1優勝という大きな魚を逃した。しかしそのしっぽだけは掴んだという感触もある。大きな目標を追うべく、高萩は2021シーズンの頂を視界に入れている。

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