品田愛斗<前編>
「プロ3年目の飛躍」
──トップの試合に出るようになったこの8月、9月で暮らしぶりに変化はありましたか?
「最近というわけではないのですが、今年に入って家族と暮らすようになりました。U-18からここまで5年、寮生活を送っていましたが、埼玉の実家にいた家族と東京で暮らし始めることになったのです。この5年間はすべてをひとりでやっていましたが、今は生活面をサポートしてもらい、サッカーに集中した環境を整えることができています。家族には力になってもらってすごく感謝しています」
──ここからは、9月16日までに出場した4試合について振り返っていきたいのですが、まずはJ1初先発となった第12節湘南戦はいかがでしたか。
「これまでミスを引きずるという部分があって、長谷川監督にもそういう心理的な問題について、アドバイスをもらってました。この試合に関しては、ボールを止めることを意識したトレーニングの成果で、落ち着いてプレーすることができたと思います。ボールを保持して時間をつくることができた点がよかったです。J1の初スタメンで絶対に勝ちたいという気持ちが強かったですね」
──背後から迫ってきた相手にボールを奪われるシーンもありましたが……。
「そういう場面があっても、すぐに気持ちを切り替えることができるようになったことで、90分間をやりきれたのかなと思います」
──第14節大分戦では湘南戦と同じくアンカー、第16節神戸戦ではボランチでした。
「湘南戦に比べるとアウェイで対戦したときの大分戦はだいぶ守備がよくなりました。それぞれの試合で相手の中盤を掴みに行くという役割があり、神戸戦はさらにその守備の時間が多くなった状況でしたが、周りと連携して自分たちのブロック内に相手を進入させなかった。しっかりした守備ができたと思っています。
ただ、大分戦は前半、安部選手に出した浮き球のパスなど決定的なシーンもつくることができましたが、神戸戦では、なかなか難しい試合展開でした。守備だけではなく攻撃でもっと違いを見せたかったです。やはりボールを持ったときが自分のよさを出せますし、そこで存在感を出したいなと思っているので」
──第24節大分戦は終盤、その激しい攻撃を見せましたね。
「2点差で負けている状況で点を取ろうとゴール前に出ていきました。チームを勝たせたいという気持ちがプレーにあらわれたと思っています」
──神戸戦はボランチ2枚の一角で、その前にトップ下として高萩選手がいるという配置でした。いっしょにやってみていかがでしたか?
「高萩選手は攻撃的なポジションにいましたが、攻撃一辺倒にはならず、攻守のバランスがよくなるよう気を遣ってくれました。そのうえで攻撃の起点にもなり、あらためて楽しんでサッカーをする選手だなと感じ、刺激を受けました」
──だいぶトップのサッカーに溶け込んできましたか?
「少しずつですがJ1のレベルでやれるようになってきた実感はあります。最初は周りに迷惑をかけるんじゃないかと心配をしていましたが、それも薄れてきました。自分のことを周囲に理解してもらえるようになり、いい連携も要所要所で見えてきていると思います」
──過密日程の連戦が続いています。
「本当にいつ誰が試合に出るかわからない状況です。目の前の一試合一試合に全員がフル出場するつもりで準備をするくらいでないと、立ち向かっていけないですね」
──そのように、いまでこそコンスタントに試合に出ていますが、昨年は先発したルヴァンカップ仙台戦で前半早々に交代するという出来事もありました。
「逆にここがチャンスだと、自分に向き合わないと成長できないと思えるきっかけになる試合でした。ここを境に、どんなに時間がかかろうとも、自分を信じてやってやろうという気持ちになりました」
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