内田宅哉<前編>
「掴んだチャンスとプロ4年目で突き当たった壁」
2016年の高円宮杯プレミアリーグで内田宅哉は生地慶充とともに7ゴールを記録し、FC東京U-18のチーム内で最多得点者となった。
そしてトップチームに昇格して4シーズン目の2020シーズン、ついに飛躍の足がかりを掴んだ。J1リーグで25試合1,067分間に出場。これまでJ3のFC東京U-23を主戦場としていた彼の、2019シーズンのJ1出場試合数は2試合7分間。1,060分間もの経験値が増えたのだ。
しかし、手放しで喜んでいるわけではない。手応えのなかに、苦い味が残る。
「少し語弊があるかもしれないのですが、コロナ禍のため過密日程でメンバーの入れ替わりが激しくなり、トップチームの公式戦に25試合も出られたということは自分のなかでは正直大きな出来事で、いい経験になったのは確かです。反面、やはり結果は残せていない。そこはしっかり受け止めて、これからの課題です。2021年はそこを追求していこうと思います」
中盤で汗をかけるこの背番号14は、試合に出るための条件を揃えている。
簡単に言うと、ボールのないところの動きが優れていること。だから長谷川健太監督は起用するのだ。しかしそのうえで、内田はある“壁”を感じている。
「自分のなかでいちばん大きな壁だと感じていることが、得点を取ること。そこを乗り越えられたらまた新しい景色が見えるんじゃないかと感じています」
4-3-3や4-4-2のシステムの中で与えられた役割をこなしながらゴール前に躍り出るという動きが、まだ思うように出来ていないのだろう。
内田は得点を挙げられていない要因をこう語った。
「単純にシュートの技術がまだ足りていないというのもありますし、もうひとつ、守備などチームで求められていることをこなすにあたって、そちらにばかり力が入ってしまい、あまり攻撃に力を注げていない、そういう部分も多少はあるのかなと」
正しいポジションをとり直して相手の進入を防ぐ。相手ボール保持者に近づき、行動を妨げるか 妨害する。奪ったあともう一度出ていって味方につなぐ。
そうした仕事のあとに、心拍数が上がった状態でフィニッシュに関わり、正確なラストパスや勝負のドリブル、あるいは精度の高いシュートといったプレーに移行するのは容易ではない。
解決策は体力を増強することなのか。それとも、力を入れるところと休むところのメリハリをつけることなのか。内田の答えは、頭の使い方を示唆するものだった。
「自分は特別足が速いわけではないですし、いいポジションどりやメリハリについてはもっと考えないといけないと思っています」
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