紺野和也<後編>
「プロ1年目の壁」
──ここまでで課題だと感じていることは?
「出場できていないことは悔しいですが、自分の力が足りないからだと理解しています。課題は明確で、守備で求められているタスクをできるようにすること。ちょうど9月にケガで少し離脱した時期があり、その期間に自分と向き合い、やるべきことを整理できました。いまはフレッシュな気持ちです」
──具体的に守備の課題とは。
「ポジションの取り方が一番自分に足りないところだと思っています。フィジカルもまだ不足していますが、それより技術や戦術だと思います。
映像でも研究してイメージはできていますが、実戦で試す機会がないので、試合に入ったときにどうなるかはまだわかりません。それでも出場機会があればしっかりとしたプレーを披露したいです」
──試合に出場できないことで焦りはありませんでしたか。
「試合に出られなくなった時期にはかなり焦りがありました。同年代の大卒の選手も多くが活躍していますし、自分もやらないといけないと。でも夏が過ぎてからそこばかり気にしても仕方がないと気がつき、焦りはなくなりました」
──守備の向上に励んでいるということですが、試合に出たときのために武器となる攻撃面も研鑽を積んでいるのでは?
「今はトラップの練習をやっています。やはりファーストタッチが決まらないと潰されることが多いので、どんなボールが来てもピタリと足もとに止める練習をしていて、この10月までにだいぶ身についてきました。これからも続けて、さらに質を上げていきたいです」
──相手のプレッシャーが強く速くなってきたときに、ドリブルをどう活かすか。それを活かせるところまで持っていくためには最初のトラップが大切だと。
「はい。長澤コーチに自主練習を見てもらっているのですが、ファーストタッチは自分としても大事なものだと思っています。ファーストタッチが決まると次のプレーも早く行けるし、つながりがスムーズになるので。
そういうことを自分でも考えながら、長澤コーチにも『もうちょっとこうしたらいいんじゃないか』といろいろアドバイスをもらいながら、取り組んでいる最中です。だんだん身についてきて、感触はいいですね」
──トレーニングの方法は?
「最初は足もとに速いグラウンダーのボールをもらい、感覚を確かめ、そのあとはちょっと難しいバウンドのボールをもらったりしてトラップの瞬間を集中的に鍛えます。
そのあとはファーストタッチで足もとに止めて、左右に動かして3歩くらいドリブルするなどのトレーニングをしています」
──どのくらいの期間やっていますか?
「2カ月くらい続けています」
──実践の場はなくても、自身で効果を感じられるのでは?
「そうですね。練習のなかではその効果を感じていて、速いボールが来てもピタっと止められるときが増えてきました。だんだん感触はよくなってきています」
──では、あとは早く実践で試したい、というところですね。
「はい。しばらくゲームに出ていないので試合勘に少し不安なところもあるのですが、試合に出たらやれるという感触はあるので。出場のチャンスをつかみたいところです」
──出場した暁にはこれを武器に活躍するぞ、というところまでやり込んだ自負があるのでは?
「やはり毎日やっているので、やれるという気持ちはあります。あとは試合で試してみたいというのがいちばんですね。なかなか試す機会がないので難しいですが、できるのではないかと思っています」
──今後の自身のキャリアとしての目標はどのように考えていますか。
「目標は高く、最終的には海外でプレーしたいと思っています。今まで、試合に出られない経験をしてこなかったので、それを『一年目から経験できているのだ』とプラスに捉えてやっています。
まずは、現状からいい方向にもっていきたいです。この壁を乗り越えられれば、この先うまくいかないときがあっても、やるべきことを確認して対応していけるのかなと思います」
──プロの壁を突破して、まずは試合に出られる状態に戻っていくことが目標ですね。
「はい。まずは試合に出て、そこからプロ選手としてのベースを築き、積み上げていきたいと思います」
──ファン・サポーターについて思うことは。
「試合に出ることができていない期間も応援してくれるファン・サポーターの方がいます。そういう方たちのためにも、試合で活躍する姿をお見せしたいと思います」