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FC東京U-18「熱い夏の始まり」


「熱い夏の始まり」


4月24日の第4節大宮アルディージャU18戦を最後に、緊急事態宣言により中断していた高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ 2021 EASTは、6月28日の第8節浦和レッズユース戦で再開した。順延となった第5、6、7節のうち第6節の清水エスパルスユース戦は代替日が未定。第7節の柏レイソルU-18戦は8月28日に実施されることが決まっている。※7月23日現在。

FC東京U-18はホーム小平グランドで浦和を相手に1-0の勝利を収めたあと、アウェイの連戦となり、7月4日には首位の青森山田高校を相手にエース野澤零温のゴールで先制しながら追いつかれ、悔しい引き分け。そして続く7月10日には延期分の第5節で流通経済大学柏高校とスコアレスドロー。勝てなかったことは残念だが、上位との敵地での戦いに負けなかったことは評価出来る。

今週末の7月25日からは第45回 日本クラブユースサッカー選手権(U-18)に臨む東京。いよいよ夏本番がやってくるが、ここで暑い夏の始まりとなった浦和戦を振り返ってみたい。

プレミアに先立ち、FC東京U-18はクラブユースの関東大会から公式戦を再開していたが、ここで出場機会を得て結果を出した生地慶多が、浦和戦で野澤と2トップに抜擢された。



トップチームに似て主体的にボールを動かしゴールを狙ってくる浦和に対し、彼らのボール回しを攻撃的な守備で封じようと、野澤と生地が激しいチェイシングを絶やさず、東京は戦った。中村忠監督は試合前に「相手のグランドでサッカーをしよう」と選手に呼びかけていたが、そのとおりの試合展開となった。



途中、守護神・彼島優のスーパーセーブで難を逃れる場面もあったが、全体的に激しい球際の守備が効いて東京がゲームを制し、粘り強く相手を追う。そして後半20分に宮下菖悟の右クロスを野澤がヘディングで叩き込み、貴重な1点を挙げた。その後このゴールを守りきっての完封勝利。先発の11人が責任をもって90分間戦うべきという中村監督の考えもあり、交代なしでタイムアップの笛を聞いた。その瞬間、野澤と生地はピッチに座り込んだ。いかに2トップの消耗が激しかったかを物語る場面だった。



試合後、生地は「東京は球際、切り替え、ハードワーク」と、自分たちのプレースタイルを誇った。クラブの理念がアカデミーに浸透している証であり、それを選手が言葉として迷わず口に出来ることがすばらしかった。

この試合、中村監督が大きな声で発する指示の大半は、生地に対してのものだった。安田虎士朗も不在となるなか、前線からの守備がキーポイントであり生地がキープレーヤーだったということなのだろう。この点を問うと、中村監督は「生地は今日ね…生地次第だなというのがあって(笑)」と言い、笑みをこぼした。

「安田がけがをしていたり、俵積田(晃太)が2年生ということもあり、生地がこの大会(クラブユース選手権)でチームの得点源になっていた。そういう状況のなか、『今日やらなくていつやるの?』という感じで。トレーニングのときから僕も彼(生地)に想いを託すというか、こういうチャンスを活かせよ、という気持ちがありました。
前線の運動量がなく、ボールを持つ時間が短いと、結局、相手に怖がられない。彼の良いところはそんなにボールを持てないけど背後に走ってウラをとるとか、ボールを引き出すとか、おとりになるとか。そういうところが持ち味なので、そこを出してくれたら相手は嫌がるだろうな、と。まあ、なんとか最後まで保ったという。まだまだ改善すべきところはあるんですが、非常によくがんばった」

改善すべき点のひとつは、生地と同じ仕事をしながら1点をもぎとった野澤のような決定力がまだ足りないということだろう。それは今後克服していくべき課題だが、いずれにしても緊急登板の2年生としてよく働いたことは間違いない。クラブユースまでのリーグ戦3試合を無敗で乗り切る、そのきっかけとして、貴重な勝利だった。



(c)F.C.TOKYO