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ぽんぽこ広場

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【久保田 尚子】みんなのスポーツ栄養vol.7

こんにちは。FC東京栄養アドバイザーの久保田です。

トップチームは、皆様の温かい応援で今シーズン2回目の5連勝!勝ち点を着実に重ねて“首位”! とはいえ、まだあと10試合残っていますので、これからも応援をどうぞよろしくお願いします。


さて、先日未就学のお子様をお持ちのお母様方にお話しする機会がありました。セミナー終了後『好き嫌い』についての質問を思った以上に受け、ちょっとびっくりしました。

まだ2~3歳の子どもたちでも好き嫌いをはっきり意思表示する、確かにあるかもしれません。そして、そのことを受け止めて、何とか手を打とうするお母様方の子育てに対する真摯な姿勢、私はある種の感動を持ってそのお話を聞き、聞きながら少し前のあることを思い出しました。


好き嫌いとは?


いろんな方とお話をしていて、確かに“好き嫌い”はよく話題になることの一つです。

一般的には味覚が発達したり、個性が出てきて自己主張をすることが出来るようになってくると、食べ物の好き嫌いも出てくると言われています。とはいえ、『野菜全部が食べられない』とか、『肉も魚もまったくダメ』という方にお会いすることはほとんどありません。

例えば、『にんじんはどうしても食べられない!』とか『鶏の皮が苦手なんだ』とか『魚は骨のないお刺身なら食べられる』とか…

では、そんなときにどうしたらよいのでしょうか?

また、好き嫌いについて、大人はどのように捉えたらよいのでしょうか?

好き嫌いも発達の表れで、成長過程ならある話…なんて、のんびりしたことも言っていられないのが親なのかもしれませんね。
そこで、今回はその好き嫌いについて、ご一緒に考えていきましょう。

好き嫌いについて・子どもの立場から?

冒頭でも申し上げた好き嫌いの話から思い出した“あること”をご紹介します。

ご存知かもしれませんが、9月にFC東京が指定管理者になってる上井草スポーツセンターで『FC東京スポーツセミナー』がありました。

私もそこで『たくさん食べて、大きくな~れ!』というテーマで親子で参加いただいた方にお話をさせていただく機会がありました。
ご紹介したいのはその時の一コマです。

子どもたちに次のような質問をしました。「ある選手から、『どうしてもにんじんがキライなんだけど…』と相談されたとします。みんななら、どう答えてあげますか?」

その質問に、何人もの子どもたちが手を挙げて答えてくれたのですが、その中からいくつかをご紹介します。

『小さく切って、ハンバーグに入れる』とか、『分からないように切って、餃子に混ぜる』とか、『にんじんでパウンドケーキを焼いてあげる』などでした。

子どもたちの真剣な答えに、私はそれぞれのご家庭での様子を垣間見ることが出来たようでとても心温まる思いがしました。そして、名答に拍手を送っていました。

私は、このことから分かることが2つあると思います。

一つは、嫌いなものがある選手に対しての答えとはいえ、にんじんが嫌いでも大丈夫だよ!と声をかけるという答えは一つもなかったということです。

二つ目は、嫌いなものでも小さく切ったり、お菓子に混ぜたりして、“食べる”ように仕向ける努力を考えたということです。

このことは、自分たちに置き換えたときにもきっといえることだと思うのです。本人たちは決して好き嫌いがあってよいとは思ってないのでしょう。嬉しかったです。

好き嫌い・ではどうしましょうか?

『好き嫌いがある場合は、実際はどうするのがよいか?』の正解は、分かりません。お子さん方の個性やそれぞれのご家庭の状況で変わってくるとも思うので・・・

私が考える“対処法”を少しご紹介すると・・・

1、子どもの時代は嗜好が確立されているわけではないので、あきらめずに間隔を置いて出してみる⇒今まで大好物だったものが、そうでもなくなるように、昨日嫌いでも、きょうは好きになっていることもあるかもしれません。根競べのように毎日出すのではなく、忘れたころに出してみるのも良いような気がします。

2、違った調理法で試してみる⇒調理法によって、触感や香りにも違いが出ます。独特のにおい+触感が嫌だということも多いのでは・・・(余談ですが、私は大きく切ったにんじんの煮物が今でも苦手なんですが、にんじんサラダやにんじんのてんぷらは大好きです)

3、栄養素的に同じグループのもので食べられものを探す⇒例えば、ピーマンが嫌いでもほうれん草は大好き!とか・・・ 食事の支度中や食事時の会話の中で、“食品の仲間”の話題が出ると自然と栄養にも興味が出るかもしれません。

FC東京の選手の中にも、自分の嫌いな食品に対してアスリートとして努力をしている選手もいます。嫌いなのは分かっていても、もしかしたら嗜好が変わって食べられるようになっているか時々試してみたり、同じ食品群の中から代わりになるものを選んでそれは食べるように気を遣ったり・・・

嫌いなものでも鼻をつまんで食べさせるなど、無理やり食べさせることで“食事が楽しくない時間”になることの方が、私は不安です。

スポーツ栄養の最終目標は『目的に合わせて、自分で自分の食事を管理できるようになること』です。そう考えると、たとえ嫌いなものがあったとしても、それと付き合う方法(少しずつ食べられるように努力するとか、同じ栄養素の他の食品を探すとか、時々は食べて嗜好の変化を確認するなど)を自分で見つけられれば、『好き嫌い克服』の第一段階はクリアと思ってよいのではないかと思っています。

子どもの成長に合わせながら、次の段階のクリア方法をゆっくり考えてごらんください。



今週末は天皇杯の2回戦です。天皇杯が始まると私は少しずつ気忙しさを感じてくるのですが、今週は気温も秋らしくなってくるようです。どうぞ季節の変わり目、風邪などひかないようにお過ごしください。


(c)F.C.TOKYO